【アトラクション考察】ソアリンとタワテラの関係性
「ソアリン:ファンタスティック・フライト」と「タワー・オブ・テラー」には共通点があります。
それぞれのアトラクションにおけるキーパーソンが、同じ機関"S.E.A."に所属している、ということです。
今回は、各アトラクションのバッググラウンドストーリー(以降、BGS)を紐解きながら、その関連性について詳解、考察をしていきます。
「ソアリン:ファンタスティック・フライト」
以降長いので「ソアリン」とします。
ようこそ、ファンタスティック・フライト・ミュージアムへ。
メディテレーニアンハーバーの丘に、空を飛ぶという人類の夢を称える特別な博物館、ファンタスティック・フライト・ミュージアムがあります。
カメリア・ファルコはこの博物館を両親から譲り受け、飛行の研究に情熱を注ぎ未来を夢見て努力し続けました。
現在は、カメリア・ファルコ生誕100周年を機にカメリア自身の人生を振り返る特別展が開催されています。
博物館を訪れたゲストは、さまざまな展示物を見ながら館内を巡り、カメリアの功績を称える特別展のギャラリーに入ります。
そこでゲストは、カメリアとその相棒のハヤブサ、アレッタのスピリットとの不思議な出会いを体験し、最後にはカメリアが仲間とともに開発した空飛ぶ乗り物、ドリームフライヤーに乗り込みます。
「イマジネーションや夢を見る力があれば、時空を超え、どこにでも行くことができる」と信じていたカメリア。
その思いが込められたドリームフライヤーとゲスト自身のイマジネーションや夢を見る力が、ゲストを壮大で爽快な空の旅へと誘います。
※公式HPから引用。改変あり。
このファンタスティック・フライト・ミュージアムは現在S.E.A.の管轄になっています。
カメリアさんがS.E.Aの女性初の会員であり、彼女が亡くなった後にS.E.A.の管轄になっていることが分かります。
公式のアトラクションの紹介においてS.E.A.については言及されていませんが、ソアリンのキャストさんのコスチュームにS.E.A.と入っています。
なのでキャストさんに「このS.E.A.ってなんですか?」と聞くと「このファンタスティック・フライト・ミュージアムを管理している、探検家・冒険家らが各々の旅路での新たな発見、知識、芸術を世界中へ広めるために活動をしている機関ですよ」と教えてもらうことができます。
「タワー・オブ・テラー」
以降長いので「タワテラ」とします。
時は1912年のニューヨーク。
1899年に起きたオーナーの謎の失踪事件以来、恐怖のホテルと呼ばれるようになった「タワー・オブ・テラー」。
ニューヨーク市保存協会による見学ツアーに参加したゲストは、エレベーターで最上階へと向かうことに。
身の毛もよだつ体験が待ち受けるとも知らず…。
※公式HPから引用。
タワテラのBGSはソアリンのように公式HPがあるわけではないので、わたし個人がキャストさんから聞いたお話や調べたお話などをそれっぽくまとめます。
大富豪のハリソン・ハイタワー三世は、世界中から様々な骨董品を収集していました。
1899年、彼はコンゴ川流域に住むムトゥンドゥ族から、呪いの偶像とされる「シリキ・ウトゥンドゥ」を手に入れることとなります。
そのシリキ・ウトゥンドゥのお披露目パーティーが同年12月31日に開かれます。
場所はハイタワー三世が建設し、オーナーとなっていた「ホテルハイタワー」。
会見の際、マンフレッド・ストラングという記者の一人からシリキ・ウトゥンドゥが呪いの偶像であることを指摘されると、ハイタワー三世は「はっ、呪いの偶像だと?馬鹿馬鹿しい!」とあざ笑います。
そのパーティーの終盤、ハイタワー三世はホテルの最上階にある自室にシリキ・ウトゥンドゥを飾るため、エレベーターに乗り込み、呪いの偶像であることを馬鹿にして、シリキ・ウトゥンドゥに煙草を押し付けます。
そして、深夜0時ちょうどにホテルに停電が発生。
そのとき緑色の光がエレベーターを包み込み、同時にハイタワー三世の悲鳴が響き渡ります。
そして制御不能となったエレベーターは1階まで落下し大破しましたが、奇妙なことに、落下したエレベーターの中からハイタワー三世は姿を消していました。
この事件以来、ホテルハイタワーはニューヨーク市民から「恐怖のホテル(タワー・オブ・テラー)」と呼ばれるようになります。
時は経ち、1912年。
1899年の事件以降、ホテルハイタワーは閉鎖されていました。
しかし、ニューヨーク市保存協会は「建築物の歴史的価値が高い」という理由で改修工事を行います。
これは、ニューヨーク市保存協会の会長はハイタワー三世と長年の確執があるU.S.スチームカンパニー(S.S.コロンビア号の所有会社)社長のエンディコット三世の娘、ベアトリス・ローズ・エンディコットによるものでした。
ベアトリスはハイタワー三世に並々ならぬ尊敬の念を持っていたのです。
ハイタワー三世と確執があったエンディコット三世は、当然ホテルハイタワーを取り壊し、その跡地に自分のホテルを建設する予定でした。
しかし、娘のベアトリスにそれを反対されてしまいます。
ニューヨーク市保存協会は設立の目的を「ニューヨーク州ニューヨークの歴史ある建造物を保護すること」としているが、実際にはホテルハイタワーの修復・保護だけの目的で設立されたという噂が立つほどでした。
ホテルがニューヨーク市保存協会により修復された後、同協会主催のツアーが開催されることとなるのです。
キャストさんのコスチュームの胸には、ニューヨーク市保存協会のマークがついていて、みなさんニューヨーク市保存協会の職員だそうです。
ベアトリスやエンディコット三世のお名前もキャストさんが説明してくれます。
ちなみにU.S.スチームカンパニーがアメリカンウォーターフロントの確か、「ビッグ・バンド・ビート」を公演している「ブロードウェイ・ミュージック・シアター」の近くにあったように思うのですがどこかすっかり頭から抜けているので、後日写真と共にご紹介する形になります。
【ここに写真を貼るよ】
さて、一通り基礎知識をお話ししましたが、これを踏まえて共通点や違いについて詳解と考察を行います。
その1:キャストさんは何も知らない(体を装っている)
これについては、以前Twitterで考察を行ったことです。
ソアリンもタワテラもキャストさんの知らないところでアトラクションの事象が起きている、ということです。
特に、タワテラは「業務用エレベーターで最上階まで行きハイタワー三世の部屋を見て、帰ってくる」というツアーですから、まさかゲストたちが「あんなこと」になっているとは思わないわけです。
ソアリンに関しても、カメリアとアレッタのスピリットと出会うシーンにキャストさんはおらず、もちろん、安全確認のためにあれこれ説明はしますが、あのバルコニーでの出来事は、カメリアとアレッタ、そしてその時に一緒にドリームフライヤーに乗った人たちだけの共有事項なのです。
そしてこのことを外にいるキャストさんに伝えると「えぇ!?」と驚かれます。
驚かれるんです。
ちなみに、2019年8月にどちらのアトラクションも乗り、息も絶え絶えに、タワテラのキャストさんに同じことを聞いても
「いえ、そのようなことは……。」
と言葉を濁されました。
徹底しているキャストさんすこだ……。
ソアリンはアレッタ(とカメリア)、タワテラはシリキ・ウトゥンドゥがあのアトラクションを作ったという、共通点があると考えてよいでしょう。
※もちろんキャストさんは「S.E.A.」もしくは「ニューヨーク市保存協会」としての存在としてそう演じてくださっているだけで、テーマパーク管理者の一員としての彼らはちゃんと把握しています。
その2:永遠の命
カメリアとアレッタ、ハイタワー三世とシリキ・ウトゥンドゥ。
この対比はあってしかるべきものです。
ソアリンで会うことのできるカメリアとアレッタはスピリットと明言されていることから、どちらも亡くなっていることが分かります。
それに対してハイタワー三世とシリキ・ウトゥンドゥに関しては、どちらも生きている可能性があります。
ハイタワー三世は死体が見つかっていないので生死は不明。
シリキ・ウトゥンドゥはもちろん、タワテラに乗る前に見るし、元気にこっちを呪ってくるし。
ちょうど、パークの両端に立つことからも、これは「永遠の命」の対比についても表しているのではないかと考えます。
スピリットとして博物館で生き続けるカメリアとアレッタ、行方不明とされ人を呪い続けてホテルで生き続けなければならないハイタワー三世とシリキ・ウトゥンドゥ。
またソアリンの、ハヤブサのアレッタ、永遠の命などから一つのキーワードが浮かびます。
エジプト神話に登場する天空と太陽の隼の神"ホルス"
様々な言い伝えはありますが、「死者の心臓と真理の羽毛とを天秤にかけ、計量を無事に終えた死者をオシリスに紹介して永遠の命を受けるべきことを伝える」という死者の書の記述や、日の出の太陽とみなされ、復活を象徴する者というものが有名です。
そんな伝説を持つ種族のハヤブサを生涯相棒として、大事に育てたカメリアに、アレッタなりの恩返しの形が彼女の精神のスピリット化(永遠の命)、そして彼女の夢を継ぐ者が現れるようにあの博物館に二人(一人と一羽)でいると考えられます。
例の小部屋でカメリアは
「ねぇ、アレッタ、この人たちのイマジネーションなら、きっと。」
と言っていることから、カメリア自身のアレッタと共に飛ぶという夢をゲストのイマジネーションを通して実現している。
では、タワテラの死、についてはどうでしょう。
そもそもシリキ・ウトゥンドゥという存在自体が死に近いものとされています。
1.敬い、崇拝すること
2.火を近づけたり、燃やさないこと
3.閉ざされた場所にしまわないこと
4.おろそかにしないこと
5.馬鹿にしないこと
6.埋葬したり、捨てたり、他の人へ譲渡しないこと
7.放置しないこと
8.そして何より、恐れること
この8つの崇拝の掟を守っていても、いずれ所有者には不幸が訪れる、そしてその所有者を攻撃するものもまた不幸に見舞われる。
もしかしたら、この8つの崇拝の掟をベアトリス自身が知っており、所有者のハイタワー三世と敵対する父エンディコット三世を守るためにあのホテルを保守したなどということも考えられます。
人間の最大の不幸を死とするかはともかく、いわゆる疫病神的発想のシリキ・ウトゥンドゥの寓話には部族ひとつの消滅、などもあります。
死を超えて勝ち取った永遠の命と死を超えることができず強制される永遠の命。
その二人が所属する"S.E.A."は「探検家・冒険家らが各々の旅路での新たな発見、知識、芸術を世界中へ広めるために活動をしている機関」です。
はからずともカメリアとハイタワー三世のそれぞれの旅路で見つけた"永遠の命に対する答え"が、見えてきます。
以上です。
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